もうひとつの磁器工房                                                 

 

 

 


 

 

 
 
 現存するスキムボードに関する書籍では初心者には分かり難く、 細かい説明も不足して居ます。DVD等動画も イメージは、つかみ易いですが覚えて行くのにはテンポが早過ぎる部分も有るかと思います。以下、僕が感じた事が参考に成る事が有れば幸いです。
 
 
 スキムボードって?
  自分が海で初めて【スキムボード】を目撃したのは、今から6,7年前でした。『子供の頃やったことあるよ!』とか、『100年くらいの歴史がある 。』等聞いた事も有ります 。
  でも、海辺で暮らして居た昔の人は何か適当な木の板を使って、きっと大昔からスキムして居たのでしょう。
  現在のスキムボードの主流は芯材にファイバーグラスやカーボンを巻いて出来ています。其のコーティングにはエポキシ樹脂が使われている事が多い。約130p 位のフィンの無い硬めの2s位の楕円の板で、多くの人が使うのは米国製が殆どです。昨年辺りから比較的安価で国産の板も出て来ました。
  砂浜からボードを持って走り、其れを落として乗り込んで波に乗る。此が【スキムボード】です。 と言っても初めは波打ち際で 只、戯れる状態ですが、達人に成るとサーフィンの様に波に乗って横に走ってロングライドまで こなします。でも、サーフボードの様にフィンが無いのでレールを上手く使わなければ成らず、後、動きも判断も速く無ければ成らないので、有る意味シビア なマリンスポーツだと思われます。
  【スキムボード】はショアブレイクと言われる岸に一番近い波に乗ります。地形や潮回りにも依りますが、砂浜が急に深く成る様な地形ほど 当然ですがサイズの有る波が立ちます。
  先ずスキムボードの板を手に入れる方法ですが、残念ながら【スキムボード】を取り扱って居るショップは、現在そんなに多く有りません。でも、インターネットで、若しくは海でスキムしている上手そうな人を見つけて『何処に売ってる?♪』 等と聞けばきっと親切に教えてくれる筈です。
  板のサイズやグレードですが、?メーカーの¥10,000位のモノを除き、名前の知られているブランドで各人の好みで良いと思います。 本来は其のメーカーに因ってシェイプやロッカーに個性が有るので、其れが分かった上で乗る方が良いのですが初めは気にしなくとも良いでしょう。メーカー推奨のカタログデータはあくまで参考で、例えば体重60sの人で130〜131p、S、Mサイズが良いと思います。浮力云々で初めはワンサイズ上の板を!などとも書かれて居ますが、 カタログ上では実際大きめに書いてあり、其れより大きい板は持ちにくいだけなので、 初めは浮力云々より乗り込み重視であまり大き過ぎない上記の様な兎に角、基準サイズが良いと思います。但し、小さ過ぎる板は浮力が無さ過ぎるので論外です 。大きな板、小さな板それぞれ乗ってみれば、きっと良く分かります。上達して回し易さを考えて基準サイズから【サイズダウン】も可能です。 其の分しっかりとした乗り込みの技術が必要ですが・・・。
  後、【スキムボード】は波打ち際で遣る訳ですから、砂との摩擦で板の底部は当然磨り減っていきます。ビーチには砂以外にも砂利や貝殻等も有るので、乗り込んで 例えば異物を踏めば板の底に大きな傷の付く場合が有ります。早めにリペアしていく事は大事ですが、あくまで消耗品と捉えて 自分のレベルに合った板にステップアップして行く方が上達と共に楽しんで出来る様に成ると思います。
 
 はじめは。
  打ち寄せる波が引いた後、砂が湿って居る所において乗り込む練習をします。但し、完全に引いた後では無く、砂と水の薄い膜が在るような状態で無いと滑りません。 【サンド・ドロップ】
  そして此は波に向かうと云うよりも海岸線に平行に行く位が遣りやすい。
  板の持ち方も人それぞれですが、右足が後ろの【レギュラー】の場合、右手が【レール】の後端、左手が【レール】の横、真ん中あたりを持つ。
 
 テイク・オフ
  板を持ち、走って乗り込む一連の動作を【テイク・オフ】と言います。
  走って行って、動いているモノに飛び乗ると云う動きは大抵の人には難しく感じられると思います。右足が後ろに成る【レギュラー】スタンス、左足が後ろに成る【グーフィ】スタンスや、板に乗せていく足の順序は、前足からでも後ろ足からでも、どちらでも各人の遣りやすい方法で良いと思います。 後ろ足から乗せる人が多いのは事実ですが。
  肝心なのは安定して板の上にしっかり乗れる様に成る事で、スピードのある安定した【テイク・オフ】、つまり失速の少ない乗り込みは慣れるまでは難しく、時として全力疾走で板に乗り込みます。
  
  先ず、乗り込みの為に板を放す動作ですが、横のレールを持つ手は添える程度で後ろ端を持つ手でパッと放し、板を真っ直ぐ進ませる事が重要です。初心者は此が案外出来て居ない し、回数をこなして慣れる事が必要で其れ以外に近道は有りません。 後端の何処を持つかですが、本当に後端を持つ人、外側方向にデッキパッドの後ろ盛り上がり部分まで持つ人、デッキパッドの平ら部分を持つ人が居ます。走って行く方向に真っ直ぐ進む様に板を放す、落とす事が 重要です。
  
  自分の場合グーフィースタンスで後ろ足から乗り込みますが、先ず走って行って右足を地面に着いた瞬間に手から板を放します。此の時右手はコンマ何秒早く放し、左手一本で放すつもりで行きます。放す位置は体に近い箇所、脇を締めて左肘が 下げ伸びて左膝の前辺りで放す。それから、ドスンと乗り込むのでは無く、乗り込んだ時に乗せた左膝を曲げて衝撃を和らげてあげ、其の後に乗せた右膝も曲げて上半身の力は抜いて足先に集中します。太腿に負担は掛かりますが、両膝は伸ばした腕が届く位曲げても良いと思います。手、腕の位置ですが、右手が挙がると後形、後ろ足に体重が乗り過ぎて仕舞って失速して仕舞います。膝頭を掴む、板のノーズの先端に手を伸ばす様なイメージで、後ろ手は左膝の延長線上、水面と平衡を取ってアンギュレーションを取ります。 状況に因りますが、【ステップ・バック】を忘れずに。
  
  【テイク・オフ】は超基本。最重要項目です。
 
 ターン
  スノーボードのターンの呼び名と何故か逆で、爪先方向に倒れるターンを【バックサイド】ターン、踵側、背中側に倒れるターンを【フロントサイド】ターンと呼びます。
  先ず始めは、崩れてクシャクシャに成って来た波を【スープ】と呼びますが、其れに当てて向きを変えたり、波に当てずとも向きを変える【スピード・ラン】 つまりターンの練習をします。
   【バックサイド】ターンは爪先、足の親指の母子球に力を入れる等有りますが、前足の膝を後ろ足の膝に近づける様にすると自然と体の正面が倒れていく様に成 って曲がって行く。
   【フロントサイド】ターンは後ろ足の膝を前足の膝に近づけていく様にすると曲がって行く。
 
 以上が最初のステップです。
  最初は早歩きより少し早い位のスピードから、乗り込んですぐに膝を曲げてしゃがむ位に体勢を低くして、進行方向を見る。此の練習を繰り返すと良い。
  又、【ハンドプラント】という両手で板の両横レールを持ったままドロップするテイクオフする方法も有ります。雑巾掛けをしていく様な感じでそのまま乗り込んで板に 乗ります。体から離れ無いので乗り込み易く、風の影響も受けにくいので、板に立って進む感じが早くから掴めると思います。しかし、慣れてくると通常のテイクオフと同等のスピードの【ハンドプラント】は逆に難しく成 ります。  
   
 
 スノーボードとの違い?
  足首が固定されて居ない・・・。確かに此が大きな違いですが、実際あまり比べられ無いかも知れません。サーフィンやスケートボードの感覚の方が近いのでは無いかと 思います。
  スノーボードはスキーと同様にターンは板を撓ませてる事に依ります。形状から板のサイドカーブだけでも曲がって仕舞いますが 、足首がビンディングに因って固定されて居るので荷重、抜重、つまり踏み込む、踏み込まないという事に集中していれば通常のフリーラン 、そしてカーヴィングは割と遣りやすいと思います。
 スキムボードでは上半身、特に腕の先行動作、バランスも重要に成って来ます。膝の動きも依りダイナミックに成ります。
  でも、腕の先行動作だけでは駄目で、ターンに合ったスピードが無ければ意味が有りません。
  スピードランといった割と平地でのレールが入る感覚はエッジングに似ている気もします。後、スノーボードでは斜面なので背中側に倒れる、バックサイドターンが遣りやすいのに対し スキムボードでは呼び方は同じですが、 正面に倒れるターンの方が遣りやすい。波を背中に向けた方が恐怖心?も少なく出来る。そして スキムのフロントサイドターンはとても難しい。
 
 スタンス
  板の上の両足を置く幅の事ですが、始めのうち多くの人は狭く成って仕舞う。乗り込んだ時は中心に近い所で良くても、狭いままだと波のパワーを板に受けて支えきれずにワイプアウトするか沈んで仕舞います。特に後ろ足は板の後端、デッキパッドの後ろ方向に載せる、若しくは移動させる(ステップバック)事が必要に成ります。こうすることに依って波のパワーを効率よく安定して受ける事が出来てターンの完成度 、確率が高く成ります。
 
 サイドウェイ
  テイクオフ時に板を横向きにして距離を稼ぐ、失速を防ぐテクニックです。スノーボードで板を横向きにするというと減速、止まる動作になりますが、スキムボードでは逆で水面との抵抗を減らす事に成ります。
  具体的には乗り込んでから板を横にしてしゃがみ込むという動作に成りますが、其のきっかけとして後ろ足で板を横にする、後ろ足の膝を前足の膝に引き付ける様にしながら曲げてしゃがみ込む、前足と荷重配分を相談しながらレールが水面に刺さらない様に集中する。乗り込んだ瞬間に上記の動作に移行するので此も中々難しいですが、距離を稼ぐ、 そしてよ因り遠くの波を狙うのには必要です。
  水面が荒れていない時が条件に成りますが。必ず習得したい技です。
  但し、サイドウェイに夢中に成り、リッピングの際に板を真っ直ぐに戻すのが遅れては元も子も有りません。後ろの手を少し入水する事をきっかけに依って板の向きが戻すのが遣りやすいです。
  基本的にはウォータードロップの際に活きますが、傾斜の有る地形からサンドドロップして水面に乗ってから使うなどライディングの幅が広がります。
 
 パンピング
  サイドウェイと同じくテイクオフ後に距離を伸ばす、そして繋げるテクニックです。前足を踏んだり上げたりを繰り返す事に依って水面を押す事が推進力に変わります。サーフィン、そしてスノーボードの特に緩斜面パウダーラン時に良く使われるのと同じです。前足の上下運動をリズム良く行う事が大切です。テイクオフ時はスピード、ターン後 等はより早いタイミングでパンピングしないと活きません。
 
 傾斜
  始めのうちは平らに近い所の方が乗り込む練習がし易いが、同じポイントでも地形が刻々と変化していくし、徐々に傾斜の有る地形でも、遣って居れば誰でも慣れてくる。傾斜の有る方が、波が有る、スピードが出る、と云ったメリットも多いが、傾斜の角度に因って乗り込むタイミングに微調整が必要に成ります。例えば、いつもより有る傾斜以上の所に、同じスピードで乗り込んだら何時もより前寄りに乗り込んで仕舞い、波に刺さる、伸びないといった事に成ります。かと言って後ろに乗りすぎても板だけが進んで仕舞います。なので因り板の中心に乗る!と云う意識が大切に成って来ます。 テイクオフと云う基本技術が問われます。
 
 レールターン
   板の横の部分をレールと言いますが、レールターンの場合、此のレールをしっかり波に入れる、食い込ませないと板は綺麗に回頭、つまりターンしていきません。基本で有るスピードランでレールを入れて乗る事が出来れば、其の先もっと大きな波に行く時も理解しやすい筈です。自分は波に進む。波は迫ってくる。双方動いて居る訳ですから、其の事を念頭に行かなければレールを入れるタイミングが遅くなり、波に当たるだけ、板の向きが変わらない、波のパワーゾーンから外れるといった事に成ります。遠くの波を狙う場合、テイクオフで届くことに必死ですが、自分が思っているよりも早くレールを入れて行く事が大切です。上級者のライディングを見ると、波がブレイクするタイミングと絶妙に合ったクイックな動きが見られます。
 
 股関節理論
  スキーの先生曰く、『股関節を入れろ!そうすれば、リカバリーも利くし、後形に成らず安定して滑る事が出来る。』長くスキーの講師をされた方の経験からの御言葉ですが、荷重抜重問わずイン股関節の状態が大切で有ると。簡単に確かめるには、前足で片足立ちして膝を少し曲げて上半身を前足方向に向けると其の股関節の入った状態が分かります。スノーボードの場合ですが、スキムボードにも言えると思います。横乗り系の場合、前後左右の荷重バランスで乗る事に成ると思いますが、板の中心 、いや自分が中心を保つ事が最重要なのでヒントに成 ります。遠心力が伴う運動で中心から外れれば即転倒、ワイプアウトです。
 
 波を見る。
   『波を見る眼』が重要です。始めの頃は波が割れて来た後、つまりスープに成った所に行って仕舞いがちです。コンディションが良い時には、割れるタイミング、リッピングの瞬間に到達するようテイクオフしなければ波のパワーゾーンから外れメイク出来ない。サンド、ウォーター、ギャップの乗り越えを問わずにテイクオフ出来る技術が必要に成ります。
 
 ステップバック
  サーフィンでは当然の様に行われるステップバックですが、後ろ足を板のより後方へずらす動きです。テールロッカーの有無も有りますがテイクオフの際、接水面積の小さい方が失速率も当然下がります。そして板の中心に近い方が安定します。 でも、ターンする前にステップバックして、つまり後ろ足をすり足して板の後端に乗せる事に依って大きい波に対処し た方がより安定した鋭いターンと成ります。初めは意識しなければデッキパッドの前若しくは中央に乗せている人が多いと思います。そして其の儘ターンと成って仕舞う人が殆どです。其のタイミングですが、ターン、リッピングの前の段階でステップバックを完了していなければ成りません。板を置く、乗り込む、波にアプローチする。板に乗ってから波に到達するまでに 、つまりターンの始動時には後ろ足が後端に来ている様に!です。此を意識しなくても自然に出来るようにしたいものです。難易度AAAです。
 
 ターン2
  バックサイドターンの場合、切っ掛けは前足の膝を後ろ足の膝に近づける様にしますが、其れと同時に後ろ足の膝も前足の膝に近づける様にすると中心に力が集まって強固なターンに成ります。所謂『内股』です。レールを入れていくタイミングと同時期の動作です。前手を前足に近づける様にしていくのも切っ掛けに成ります。此はスノーボードと一緒ですが、後ろ手もバランスを取った【アンギュレーション】くの字姿勢が大切に成って来ます。後ろ手の位置が肩と平行で有るのが基本姿勢とした場合、バックサイドでは後ろ手は肩の位置より上、フロントサイドでは逆に肩の位置より下げる方向に持って行けば【アンギュレーション】が取れる。
 
 後ろ足
  後ろ足の荷重でターンの仕上げをするのはスノーボードもスケートボードも、そしてスキムボードも同じです。スピードラン時は元より、レールターン、テールターンでは当然重要事項です。向きを変える、つまりターンの起動時は前足の荷重具合。そして板がすっぽ抜けてて仕舞わない様前足で抑えながら後ろ足でも荷重する。但し、此も後ろ足の位置が重要で成る可く板の後端で有った方が良い。 
 
 海外のDVDに出て来る様な波は日本では有り得ないので、良くも悪くもテイクオフ、つまり失速の少ないスムーズな乗り込みの良し悪しで殆どが決まって仕舞います。自分が出会った上手い人達はみんなテイクオフが一番大事だと言って居た。そして成る可く遠く波を狙う、届く様に頑張る。遠波に行ければ、近波は簡単に届き其の逆は無い訳で 、矢張り【テイク・オフ】が基本中の基本と云う事です。
 
 テールターン
  後ろ足荷重のターンの事。体の中心力を保ってターンする事に代わりは有りませんが、向きを変える際、後ろ足荷重の比率を極端にします。波に当て込む様な感じに成り、弧の小さい早いターンに成ります。スケートボードに近い感覚です。
 
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最終更新日: 2,014年4月 5日